私は27歳になる独身の女。
これは私の話じゃなくて、父の話なの。
父は、私が7歳の時に母と離婚をして、私を男手ひとつで育ててくれたの。その間、女性の影が父の周りにあった事はなかったわ。
私が年頃になって、恋をするようになっても、それは同じだった。
父の部屋からは“大塚博堂”さんの“過ぎ去りし想いでは”と言う歌がよく聞こえたのね。男性が、別れた女性と過ごした時間を想い、そのれに浸っているというような切ない歌だったと思うわ。
でも最近、その歌が聞こえなくなったから、なんだか変だなと思っていたのね。それでよく観察してみたら、何となく父に女の影が見えるようになっていたって言う訳。
それは、娘としてはちょっと嬉しいけれど、ちょっと複雑な気持ちよね。
でもそれより、あの武骨な父がどうやって相手の女性をみつけたかって言うことの方に、ものすごく興味が湧いたわ。
我が家はパソコンを父と私と共同で使っているのね。私は“パスワード”を使って、父に見られないようにしているけど、父は無頓着なので、そんなものを設定していないから、見る気になれば父がどんなサイトを覘いているかって言うことは判るの。
この間、悪いと思ったけれど、父がネットを使った履歴をちょっとのぞいたのね。そうしたら“出会い系”のサイトを使ってたのよ。“出会い系”よ、“出会い系”、信じらんない。あんな年の人までが出会い系を使うなんて、おまけにそれなりの相手を、たぶん見つけることができただなんて・・・・・・。
でも、母と別れてから20年の間、私を育ててくれて、やっとそのことから解放されたんだから、ちょっとは喜んであげなければね。
でも、なんだかひっかるのよね、“出会い系”って言うことが。
でも、あんなに人生経験を積んだ父が、上手く相手の女性をみつけたのだから、悪い評判だけではないのかもね・・・・・・・・。
私も、もしいまの彼と別れちゃったら“出会い系”を使ってみようかな?
もしかしたら、上手くいくかも・・・・・・・・。
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